コピー機やプリンターなどの印刷機器にはトナーが不可欠ですが、消耗品でもあるので使うほど費用が嵩んでしまいます。
出費を抑えるために純正品のトナーよりも安価なリサイクルトナーを使う方法もありますが、印刷機器の扱い方を工夫することも重要です。ここではリサイクルトナーの特徴や使用するメリット、印刷コストを抑える工夫についてお伝えしていきます。
リサイクルトナーの仕組みや純正品との違いについて
リサイクルトナーは純正品の空き容器を再利用した製品です。内部を洗浄したうえで新しいトナーを入れて販売するので、容器を作るコストを軽減できます。そのため、純正品よりも安価で購入できるメリットがあります。純正品のトナーはメーカーごとに特許が取得されているので第三者が同じ方法で作ることはできません。
空き容器を再利用するのは容器の形状が特許の対象になっているためです。トナーの成分も特許で決められた割合で作られていることから、リサイクルトナーに用いるトナー粉末は純正品とわずかに色合いが異なっています。
しかし、両方を比較してようやくわずかな違いが分かる程度なので、リサイクルトナーでも十分にきれいな仕上がりを期待できると言えるでしょう。リサイクルトナーは純正品の空き容器を回収して再利用することを前提とした物なので、空き容器の数が足りないと作ることができません。
使用済みのトナーはパソコン販売店などの回収窓口に届けることが推奨されています。破損したトナーも軽微であれば修理が可能なので、そのまま捨てるのではなく回収窓口に届けるのが賢い処分方法です。
リサイクルトナーのメリットとデメリット
リサイクルトナーは安価で購入できるのが最大のメリットと言えます。トナーは消耗品なので、印刷の頻度が高いほど買い替えの回数も増えてしまい、それだけ出費も嵩んでしまうのです。リサイクルトナーは容器の製造コストがないので、製品によっては純正品よりもはるかに安い金額で販売されています。
何度も印刷を行うなら出費が少ないリサイクルトナーが最適と言っても過言ではありません。リサイクル品であってもその品質は決して低くありません。トナーの粉末は工業製品として使用できる品質の条件を満たしているので、印刷内容が理解できないほど汚れているなどの重大なトラブルに見舞われることはほぼあり得ないと言えるでしょう。
リサイクルトナーは印刷の質を保ちながら経費節約を行うのに最適な製品です。その一方でリサイクル品ならではのデメリットがあるのも事実です。
リサイクルトナーは使用済みの空き容器を再利用していますが、容器の耐久性は使用環境で大きく異なります。実質的なトラブルの件数は少ないものの、純正品と比較すると不具合が起きる可能性は否定できません。また、トナー粉末は純正品とまったく同じ物を作ることができないので、同じ色でも純正品とリサイクルトナーでは若干の違いが生じます。
トナーの成分の違いから、純正品では対応できる特殊な紙への印刷ができないのもリサイクル品特有のデメリットです。
トナーの品質と長持ちさせる工夫
ほとんどのトナーは使用期限が設けられています。これはトナー粉末が湿気に弱く、空気に触れることで劣化するためです。トナー印刷は微小な粒が静電気によって紙に定着する仕組みですが、湿気を吸うことで静電気の力が弱くなってしまいます。
劣化が進むとまったく定着せず、印刷ができなくなることもあるので注意しなければいけません。印刷機器に粉末が詰まって故障するケースもあることから、開封したトナーはできるだけ早く使い切る必要があります。未開封の製品も徐々に劣化が進むので、もったいないと感じても新しく購入するのが賢明です。
純正品のトナーは多くの場合、製造してから2年後が使用期限に定められています。リサイクルトナーも純正品と同様に使用期限が設けられていますが、約1年と短く定められている物が少なくありません。空き容器が空気に触れているので、わずかに湿気が残っている可能性があるためです。
未開封でも使用期限が切れた物は使わないのが賢明ですが、使用期限内であっても保管場所が悪いと劣化が進んでしまいます。高温多湿な場所を避ける他、日光に当てないのがトナーの品質を損なわない工夫です。
印刷機器のセーブ機能を活用する
印刷に関する経費を節約するにはトナー選びの他、印刷機器の扱いにも気を配らなければいけません。印刷機器のコンピューターには印刷に用いるトナーの量が予め設定されていますが、その設定を変更することでトナーの消費量を抑えることができます。
印刷セーブなどの名称で設定を切り替えるスイッチが付いている機器なら簡単にトナーを節約することが可能です。通常の印刷よりもやや薄い仕上がりになりますが、文書や図面などの作成に不都合はありません。一度の印刷で節約できるトナーの量はわずかですが、印刷の回数が多いほど節約の効果が大きくなります。
使い捨てのチラシなど保管の必要がない印刷物ならセーブ機能での印刷で十分と言えるでしょう。もちろん、セーブ機能はメリットだけではありません。トナーの量が少ないとそれだけ仕上がりが薄くなるので、小さい文字や細かい図面などが見えにくくなることがあります。
写真やイラストの場合は見栄えが悪くなることもあるので、長く保管する物や観賞目的の物は通常の印刷方法を選ぶのが無難です。
必要な印刷だけに留める
無駄な印刷を行わないのも経費節約の重要なポイントになります。使い捨てであっても本当に必要な枚数だけを印刷するのがトナーや用紙の消費を抑える秘訣です。コピー機やプリンターなどの印刷機器は手軽に操作できるので、印刷自体も簡単に行うことが可能です。
その一方で印刷で生じる出費の計算が疎かになってしまう側面もあるので、印刷機器を扱う際は経費節約に意識を向けることが重要になります。事前に予備を印刷するのではなく、不足したらその分だけを追加するなど印刷方法を見直すのが肝心です。
印刷に関する経費節約はトナー選びと印刷する人の姿勢が重要
印刷は何度も繰り返して行うことが多く、費用が膨大な金額になることも珍しくありません。
純正品よりもはるかに安く購入できるリサイクルトナーを選ぶのが効果的な方法です。それ以外にも不必要な印刷を行わない、機器のセーブ機能を使ってトナーの量を減らすなど印刷に携わる人の姿勢にも気を配ることが経費節約に繋がります。