コピー機やプリンターなどで使われることが多いトナーですが、使用済みのトナーはどのように捨てればいいのかご存知ですか?見た目はプラスチックなのでなんとなく「不燃ごみ」として出せそうに思えますが、実はどの自治体でも使用済みトナーは不燃ごみとして回収してくれません。
この記事では使用済みのトナーカートリッジが不燃ごみとして出せない理由をお伝えするとともに、正しい捨て方について詳しく解説します。
トナーは不燃ごみとして捨てることはできない
使用済みのトナーカートリッジですが、一般の「不燃ごみ」として捨てることはできません。その理由として「事故防止」と「地球環境保護」の二つが挙げられます。コピー機やプリンターなどで印字に使われるトナーは、液体であるインクとは異なり、粉末です。
実はこの粉末が「ある事故」の原因になります。使用済みで印字ができなくなったとはいえ、トナーカートリッジの中には少量ながら粉末のトナーが残留しています。それが大気中に飛散し、何らかの原因で引火して「粉塵爆発」が起きる危険があるのです。
またプラスチックを粉砕する際にも粉が撒き上がって粉塵爆発の危険があり、トナーカートリッジの処分についてはノウハウを持った専門の業者しか行えないという理由があります。もうひとつの理由が「地球環境の保護」です。
現在日本だけでなく世界各国で地球の環境を守るために「3R」が提唱されています。3Rとは「リデュース」「リユース」「リサイクル」の頭文字を取ったもの。リデュースは「レジ袋などの無駄なゴミを減らすこと」、リユースは「一度使ったものを再び使用すること」、そしてリサイクルは「一度使ったものを資源に戻して再び活用すること」を意味します。
リユースとリサイクルは非常に似ていますが、リユースは一度使った部品や材料を「そのままの形で」再使用するのに対し、リサイクルは粉砕したり溶かしたりするなど「形状を変えて」再使用することを表します。トナーはこのリユースとリサイクルの対象になっていて、あとで詳しく説明しますが、決められたルートで回収されたのちに分解や洗浄が行われ、「リサイクルトナー」として再出荷されるのです。
リサイクルトナーは純正品と比べると割安のため需要が高く、再生品なので地球にやさしくエコであるという特長を持ちます。またメーカー側ですでに廃番になってしまった型番も手に入るというメリットもあります。このように使用済みトナーをリサイクルトナーとして再び世に出すため、私たちは正しい捨て方や処分をしなければなりません。
使用済みトナーの正しい捨て方には主に「トナー回収ボックスに投函する」「メーカーや販売店に回収を依頼する」「産業廃棄物処理業者に依頼する」の3つの方法があります。ここからそれぞれについて詳しく説明します。
トナー回収ボックスに投函する
多くの家電量販店やホームセンター、パソコン専門店などには「トナー回収ボックス」が設置されており、そこに投函することで使用済みトナーを回収してくれます。回収されたトナーは専用のリサイクル工場へと送られ、再びリサイクルトナーとして製品化されます。
回収ボックスは店舗の入り口付近やサービスカウンター、パソコン売り場周辺に設置されることが多く、ボックスに投函するだけで無料でトナーを引き取ってもらえるので大変便利です。回収ボックスによっては回収可能なメーカーや種類が指定されている場合があるため、事前に確認しておくことをおすすめします。
ちなみに家庭用でよく用いられる「インクカートリッジ」は回収の対象外になっているので、くれぐれも投函しないようにしましょう。
メーカーや販売店に回収を依頼する
コピー機やプリンターのメーカーや販売店の多くでは、使用済みトナーの回収サービスを実施しています。使用し終わったトナーカートリッジを購入した際の箱などに入れてメーカーや販売店に回収を依頼し、あとは引き取りに来たドライバーに渡すというのが一般的な流れです。
回収にかかる費用や送料は無料のところがほとんどで、トナー1本から回収してくれるメーカーもあります。トナーカートリッジはリサイクルするため、破損しないように箱に入れて回収するのが基本ですが、中には購入した際の箱でないと引き取りしてくれない場合も。
事前に回収条件などを確認しておきましょう。メーカーによっては「ベルマーク運動」に協賛している会社もあります。ベルマーク運動とはPTAなどのボランティア団体によって作りだされた「ベルマーク預金」にお金を集め、学校や公民館などのために設備や教材を購入したり、国内や海外の子どもたちを支援したりする活動です。
ベルマーク運動に協賛しているメーカーに使用済みトナーを回収してもらうと「ベルマーク点数証明書」が送付され、それをベルマーク教育助成財団へ送るとベルマーク預金に「50点(50円相当)」がプラスされます。トナーを回収してもらうことで、間接的にベルマーク運動に参加できるというわけです。
現在キャノンやエプソンなどがベルマーク運動に協賛しています。
産業廃棄物業者に依頼する
産業廃棄物業者には、使用済みのトナーカートリッジの回収や処分を行っているところがあり、そこに依頼するのもひとつの方法です。しかし粉塵爆発などの懸念から回収を断る業者も多く、身近で見つけることは困難かもしれません。
また万が一産業廃棄物処理業の認可が下りていない業者に頼んでしまうと、トナーを不法投棄される恐れがあります。不法投棄された場合、投棄した業者だけでなく、依頼した本人や法人が罰せられる可能性があるので注意が必要です。
回収された使用済みトナーはどうなる?
先述したとおり、使用済みのトナーカートリッジは専門のリサイクル業者へと運ばれて「リサイクルトナー」として生まれ変わります。運ばれてきた古いトナーは開梱の後、金属やプラスチックなど部品ごとにバラバラに分解され、再び製品として利用できるように丁寧に洗浄。
綺麗になった部品は再度組み立てられ、中にトナーが充填されるとリサイクルトナーとして再び消費者のもとに届けられるのです。
破損や汚れなどが原因で再使用できなかった部品は分別され、他の用途に利用されます。
使用済みトナーは正しく処分しましょう
使い終わったトナーカートリッジは、一般の不燃ごみなどで廃棄してしまうと事故の恐れがあり大変危険です。リサイクルトナーとして再び利用するために回収方法があらかじめ定められているので、処分のルールは必ず守るようにしましょう。
捨て方がわからないからといって、不法投棄は絶対に行ってはいけません。事故防止や地球環境保護のために、トナーは正しい方法で処分することが大切です。