コピー機やプリンターの普及により、個人でも簡単に印刷ができるようになりました。印刷には欠かせないトナーの需要も増加した一方、消耗品なので頻繁に購入する必要があり、費用が嵩むのも事実です。そのため、出費を抑える目的でリサイクルトナーを使用する人も少なくありません。
ここではリサイクルトナーの特徴や使用するメリット、使用期限などの注意点についてお伝えしていきます。
トナーの成分や印刷される仕組みについて
トナーはコピー機やファックス、プリンターなどの印刷機器に用いられる塗料の一種で、粉末状になっているのが大きな特徴です。液体のインクとは異なり、乾燥させるための時間が不要なので短時間の大量印刷に適しています。
トナーの多くは顔料を沁み込ませた非常に小さいプラスチックの粒で作られています。帯電性のあるプラスチックに静電気を持たせて紙に定着させるのがトナー印刷の仕組みです。製品によっては色に深みを持たせる目的で鉛を加えたり、より強い静電気を持たせるために鉄粉を混ぜている物もあります。
添加物の割合は製品によって異なるので、同じ色でもメーカーによって微妙に異なります。そのため、印刷物によっては仕上がりに違いが生じる可能性も否定できません。
リサイクルトナーの作り方や需要の詳細
印刷に用いるトナーは消耗品なので新品を購入するイメージがあります。しかし実際には出費を抑えるためにリサイクルトナーを選ぶ人が少なくありません。リサイクルトナーは使用済みのトナー容器を回収し、新しいトナーを注入した製品です。
トナーの製造はメーカーごとに特許があるため、第三者がまったく同じ方法や材料で作ることができません。使用済みの空き容器を回収するのは自由ですが、注入するトナーはメーカーとは異なる成分になっています。そのため、リサイクルトナーは純正品と比較すると微妙に色合いが異なっているのです。
その点を指してリサイクルトナーは純正品よりも発色が良くないと敬遠されるケースもあります。しかし、リサイクルトナーが低品質というわけではありません。あくまでも純正品とまったく同じ成分にはできないだけで、トナーとしての品質には何の問題も無いと言えるでしょう。
純正品の半値以下で購入できる製品もあるので、出費はできるだけ低く抑えたい人にとってリサイクルトナーは大きなメリットがあります。純正品と並べて販売されていることもあるので、それぞれの良し悪しを比較するのは難しくありません。
トナーに設けられた使用期限の意味
トナーには多くの場合、使用期限が設けられています。これは湿気や日光などの影響で品質が低下するためです。一般的にメーカー純正品のトナーは未開封の状態で2年とされています。開封すると機器に取り付ける部分が湿気や日光に触れる形になり、そこからトナーの劣化が進んでしまうのです。
開封したトナーはできるだけ早く使い切ることが重要になりますが、約半年ほどで品質が損なわれるケースがほとんどです。微小な粉末のトナーは特に湿気に弱く、多湿な環境の日本では劣化も早いと言えます。そのため、トナーは使う直前まで開封せず、短期間で使い切るのが賢い扱い方です。
湿気に弱い一方で極端に乾燥した環境でも印刷に不具合が生じます。リサイクルトナーの場合はメーカーごとに使用期限の期間が異なります。メーカー純正品と同様に2年と定めている物や、それよりも短い期間に設定している物があります。
使用期限の長さとトナーの品質に関係はありませんが、どのような製品でも容器を開封したら早めに使い切ることが肝心です。稀に使用期限が記されていない物もありますが、そのような場合は約1年から2年の間が使用期限と見なして扱うように心がけます。
使用済みのトナー容器を処分する方法
トナーは専用の容器に封入された形で販売されている物が多数ですが、トナーを使い切って空になった容器はメーカーに返却するのが長く続く慣習です。地域のごみ出しルールに従って捨てる方法もありますが、リサイクルトナーの製造コストに影響するため、空き容器はできるだけメーカーに返却するのが適切な処分方法と言えるでしょう。
リサイクルトナーは容器の製造工程を省くことで安く販売できる製品です。そのため、印刷機器を使う一人一人がリサイクルトナーの必要性を正しく理解することが容器の回収率向上に繋がると言えるでしょう。
トナー容器の回収窓口は多くの場合、パソコン用の印刷機器や家電製品の販売店に用意されています。
使用期限が切れたトナーの危険性について
使用期限が切れた古いトナーは未開封であっても品質が大きく低下しています。色素の変質によって印刷の仕上がりが非常に悪くなってしまうのです。表記されている色とはまったく異なる感じになるケースも少なくありません。
きれいな印刷を求めるならもったいないと思えても古いトナーは廃棄するのが賢明です。また、古いトナーは印刷機器の内部で詰まりを起こしやすく、機器が故障するリスクを増大させます。劣化したトナーの粉末が部品にこびり付き、印刷時における機器の動作を妨げてしまうのです。
異なるメーカーのトナーを混ぜるなど、品質の劣化を促進させるような行為は厳禁です。
個人がリサイクルトナーを使いこなすための工夫
リサイクルトナーは純正品よりも安く販売されていることが多いので、まとめ買いをする人も少なくありません。頻繁に印刷するならともかく、平均的な印刷数に留まる人は安いと思っても無暗に買いだめはしないのが賢明でしょう。
トナーは未開封の状態でもわずかに劣化が進んでいるので、買い込んだ物がいつの間にか使用期限切れになってしまい、品質も低下していたという状態に陥ってしまうこともあります。印刷の頻度やトナーの使用期限を考え、本当に必要な数だけを随時購入することで上手に使いこなせていると言えるでしょう。
まとめ買いは値引きされていることも多いので得と思えますが、使用期限が過ぎても未開封の状態というケースは稀ではありません。一度も使わずに期限切れになることを考えれば、出費は割高でも必要な数だけ購入するのが長期的に見ると得です。
色合いや使用期限を考慮して選ぶのがきれいに印刷する秘訣
リサイクルトナーは純正品よりも安く購入できることから個人や法人を問わず広く普及しています。しかし、トナーの成分はメーカーごとに異なり、その違いが印刷に影響するのも事実です。イメージと実際の仕上がりにギャップを生じさせないためにも色合いの確認を忘れてはいけません。
また、トナーの多くは使用期限が設定されているので、印刷機器のトラブルを避けるために期限は厳守するように心がけます。